宝石を輸入するときに欠かせない「HSコード」とは

宝石を輸入するときに欠かせない「HSコード」とは

はじめに──「税番」がわかると、輸入の精度が上がる

宝石を海外から輸入する際、避けて通れないのが「HSコード(税番)」です。

これは輸入通関や関税計算、税率の判定において重要な分類番号で、正確に記載しなければ、税関での手続きに時間がかかったり、思わぬ課税を受けたりすることもあります。

llct.ではバイヤー自身が貿易事務の経験を持ち、実際の輸入手続きの中でもこのHSコードと向き合う機会が多く、その重要性や実際の書類表記について解説します。

HSコードとは何か──国際共通の分類番号

HSコード(Harmonized System Code)は、世界中で共通して使われている貿易用の商品分類コードです。すべての商品に6桁の共通コードが割り振られており、これに国ごとの追加2桁や細分類2桁を加えた「合計9桁または10桁」で実務上使用されています(日本の場合は9桁)。

たとえば、石種により多少の違いはあるものの、一般的な宝石ルースの場合は以下のようになります:

・7103.99-000 その他の貴石用または半貴石用のもの(原石を除くカット済みのルース)

このコードによって、輸入時にどのカテゴリに属する商品かを明確にし、それに応じた関税率や審査基準が決まる仕組みです。※ 宝石がセットされたジュエリーになると、HSコードは大きく変わります(例:7113.19-000など)。

コードを記載しないリスク

通関書類(主にインボイスと呼ばれる輸入品明細)にHSコードが記載されていない場合や、誤ったコードを用いていると以下のようなリスクがあります:

課税率の誤適用(低くなるケースもあり、見逃してしまうと後の調査などで判明し、追徴課税が課される場合もあります)

通関検査による検査料の発生や追加書類要求、それらによる納期の遅れ

今後の輸入実績に悪影響が出る(公にはされませんが、当然のこととして税関にマークされやすくなります)

特に宝石類は偽装や脱税の温床になりやすいため、税関側の審査が厳しく行われやすいカテゴリなのかもしれません。

実際の仕入れ現場でどうしているか

llct.の場合、仕入れ先のインボイスに商品写真を掲載し、関税率表の英語表記に基づきそのままのワードを記載しています。

インボイスには「商品名(英語)」「原産地」「加工地」「数量」「価格」「商品写真」を明記してもらい、できる限りスムーズに通関できるよう事前に整えています。

※ タイのサプライヤーでも「HSコードに詳しくない」と言う場合もあるので、こちらから正しい分類を伝えることもあります。

おわりに──

宝石というと、色や形、輝きなど視覚的な要素に目が行きがちですが、その価値を正当に受け渡すためには、書類上の正確さが欠かせません。

HSコードは単なる数字の羅列ではなく、輸入許可書もまた石の来歴と信頼性を記録する、もうひとつの“証明書”のようなものとも言えるでしょう。

llct.では、こうした輸入の裏側にある手続きも丁寧に行いながら、大切な石を確かなルートでお届けしています。

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